坊
『坊っちゃん』
ぼっちゃん
夏目漱石·近代
江戸っ子教師の反骨を痛快に描いた漱石前期の名作
文学
この著作について
夏目漱石が1906年に雑誌「ホトトギス」に一挙掲載した中編小説。漱石が熊本の第五高等学校、松山の松山中学で教師として過ごした自身の体験を下敷きに、わずか十数日で書き上げたと伝えられる前期の代表作である。
【内容】
物語は、江戸っ子気質の主人公『坊っちゃん』が物理学校を卒業し、四国の中学校に数学教師として赴任するところから始まる。愚鈍な生徒、狡猾な同僚「赤シャツ」「野だいこ」、純朴な「山嵐」、下宿の婆さんや仲居「清」など、地方社会の登場人物たちのなかで、坊っちゃんは持ち前の向こうみずな正義感で衝突を重ねる。最後はやせ我慢と直情径行が勝つ形で学校を飛び出し、東京に戻って「清」のもとで静かな終幕を迎える。
【影響と意義】
漱石作品のなかで最も広く読まれる一冊で、近代日本文学の国民的テクストとなった。江戸と東京、田舎と中央、旧秩序と新秩序の対比を、軽妙な一人称で浮かび上がらせる手法は、その後の青春小説・ユーモア小説の定型となった。
【なぜ今読むか】
組織のなかで筋を通すことの痛快さと愚かしさを、短く読み切れる形で体験できる。漱石入門にふさわしい、今も新鮮な一作である。
著者
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