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闘技的民主主義

とうぎてきみんしゅしゅぎ

シャンタル・ムフ·現代

ムフが提唱する対立を制度化する民主主義モデル

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政治現代思想

この著作について

シャンタル・ムフが提唱する政治モデルの総称。単一書名としては『政治的なものについて(On the Political)』(2005)や『左派ポピュリズムのために(For a Left Populism)』(2018)等で展開された。

【内容】

「闘技的民主主義(agonistic democracy)」は、ハーバーマスらの熟議民主主義モデルへの対抗として提案された。熟議モデルは合理的討議を通じた合意形成を理想化するが、ムフは政治の本質には常に「敵対性」が伴うと指摘する。重要なのは敵対を排除することではなく、暴力的な「敵(enemy)」の関係から、相互を正統な対抗者と認める「対抗者(adversary)」の関係へと変換すること。これが闘技性(agonism)である。多様な立場の対立を抑圧せず、しかし暴力に至らせない制度設計、ヘゲモニーをめぐる持続的な争いそのものが民主主義を生かす、と論じる。

【影響と意義】

ラディカル・デモクラシー、ポスト・マルクス主義、現代政治理論の重要な参照点となった。バルセロナのポデモス、英国コービン労働党、米国サンダース系運動など、21世紀の左派ポピュリズム運動に理論的影響を与えている。

【なぜ今読むか】

極端な分断とポピュリズムの時代に、対立を消そうとせず制度化する道を考える。合意至上主義の限界を超える政治観を学べる。

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