禅
『禅マインド・ビギナーズマインド』
ぜんまいんどびぎなーずまいんど
鈴木俊隆·現代
「初心」の精神を説いた現代の実践的禅入門書として世界的ベストセラー
宗教哲学
この著作について
曹洞宗の僧・鈴木俊隆《すずきしゅんりゅう》が一九五〇年代にアメリカへ渡り、サンフランシスコ禅センターで弟子たちに語った法話を、弟子の一人が編集した英語書籍を底本とする禅入門書。
【内容】
冒頭に置かれた「初心者の心には多くの可能性があるが、熟達者の心には少ない」という一文が、本書全体の主題を凝縮している。坐禅の姿勢、呼吸、心の観察という具体的な身体指導から始まり、「正しく坐ることと、正しく生きることは別ではない」「悟りを求める気持ちさえ手放すこと」「誤って坐り続けること」「何度でも新鮮に出会い直す心」といった、禅の核心が短いチャプターで語られていく。抽象的な教理よりも、一息一息の呼吸と姿勢に重心を置く語り口が貫かれている。
【影響と意義】
原題『Zen Mind, Beginner's Mind』は英語圏で禅入門の決定版として読み継がれ、スティーブ・ジョブズら多くの読者を得た。禅センターのコミュニティは鈴木以降も継続し、アメリカの禅仏教と日本仏教の対話の原点となった。日本語にも逆輸入訳されて長く親しまれている。
【なぜ今読むか】
情報と比較が溢れ、「もっと上手く、もっと早く」の声に押され続ける現代に、「毎回を初心者として坐る」という助言は静かに強い。短く独立した章から成るため、通勤中や寝る前など、日々の合間に一節ずつ読むのにも向いている。