城
『城』
しろ
カフカ·現代
カフカの未完の長編小説
哲学
この著作について
カフカ晩年の未完長編であり、死後に親友ブロートが整理して刊行した、到達不能な権威をめぐる寓話。
【内容】
雪深い夜、測量士と名乗るKが寒村を訪れ、丘の上の「城」に呼ばれたと主張する。しかし城の役人に会うことはおろか、城の入り口に近づくことすらできない。Kは女給フリーダとの関係、助手たちとの煩雑な日常、村人たちの冷淡な応対に翻弄されながら、文書と伝言と噂のネットワークのなかで少しずつ方向を見失っていく。頻繁な脇道と長大な独白が続くうち、城はますます遠のき、手続きのための手続きが増殖していく。物語は文中で唐突に途切れる。
【影響と意義】
官僚制や権威というものが、実体ではなく「近づこうとする者たちの態度」によって成り立つことを見事に浮かび上がらせた作品として、マックス・ウェーバー以来の官僚制論や権力論に文学の側から深い補助線を引いた。アーレントやアガンベンら現代の政治思想家にとっても重要な参照点である。
【なぜ今読むか】
巨大なシステムに問い合わせても回答がたらい回しにされる経験は、誰にとってもなじみ深い。近づこうとすればするほど遠ざかる権威の構造を言葉にするとき、本書のイメージは今なお最も鋭い武器の一つである。
著者
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