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承認をめぐる闘争

しょうにんをめぐるとうそう

アクセル・ホネット·現代

ヘーゲル承認論を現代社会理論に蘇らせたフランクフルト学派第三世代の代表作

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政治社会

この著作について

フランクフルト学派第三世代を代表する社会哲学者アクセル・ホネットが1992年に公刊した、現代批判理論の重要な一冊(原題『Kampf um Anerkennung』)。

【内容】

ホネットは若きヘーゲルの「承認をめぐる闘争」概念を、ジョージ・H・ミードの社会心理学と結びつけて再構築する。人間の自己実現は三つの相互承認の段階を経る。第一は家族における「愛」による情緒的承認、第二は法的・市民的「権利」による尊厳の承認、第三は職業・業績共同体における「連帯」による価値の承認。これら三つが揃うことで人格的同一性が成立する。逆に、これらの承認が侵害されると(暴力、権利剥奪、価値剥奪)、人々は「承認の闘争」に身を投じる。社会運動、労働運動、フェミニズム、エスニック運動はすべてこの「承認の文法」のなかで理解できると論じる。

【影響と意義】

フランクフルト学派の批判理論を分配パラダイムから承認パラダイムへ転回させた画期的著作。ナンシー・フレイザーとの「承認か再分配か」論争を経て、21世紀の社会哲学・批判理論の中心争点となった。日本では山本啓らによる訳を経て幅広く参照される。

【なぜ今読むか】

格差・差別・尊厳の問題を「承認」の枠組みで捉え直す視点は、SNS時代の自己肯定感や社会運動の動機を考えるうえで決定的に重要である。

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