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政治的なものの帰還

せいじてきなもののきかん

シャンタル・ムフ·現代

敵対性を中核に据えた闘技的民主主義の理論的綱領

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政治現代思想

この著作について

ベルギー出身の政治理論家シャンタル・ムフが1993年に公刊した政治哲学論文集(原題『The Return of the Political』)。リベラル・デモクラシーの合意主義モデルを批判し、敵対性(antagonism)を政治の核心に位置づけ直す宣言的著作。

【内容】

ムフはカール・シュミットの「友/敵」区分を批判的に受け継ぎ、政治とは合意ではなく対立そのものを構成的契機とする活動だと論じる。ロールズハーバーマスの熟議民主主義は、合理的合意を理想化する点で「政治的なもの」を抹消してしまう。代わりに、敵対性を「闘技性(agonism)」へ変換することが民主主義の課題であり、対立する立場を相互に正統な対抗者と認めながら争う制度設計こそが民主主義を生かす。本書はラディカル・デモクラシー(彼女と E・ラクラウの共著『ヘゲモニーと社会主義戦略』の続編)の理論的中核を成す。

【影響と意義】

ポピュリズム研究、ポスト・マルクス主義、政治理論において影響力大。21世紀のラディカル左派思想(ジジェク、バディウら)と接続し、ポデモスやコービン労働党など現実の左派運動の理論的支柱の一つとなった。

【なぜ今読むか】

分極化と対立が深まる現代の政治状況を、合意の欠如としてではなく「政治の本質」として捉え直すための重要な一冊。

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