フィロソフィーマップ

遊ぶことと現実

あそぶこととげんじつ

ウィニコット·現代

「移行対象」と遊びを通じた創造性を論じた対象関係論の代表作

Amazonで見る
心理学

この著作について

イギリスの小児科医・精神分析ドナルド・ウィニコットが1971年に公刊した、対象関係論の集大成的論集。

【内容】

初期論文「移行対象と移行現象」(1953)を巻頭に、遊びと文化体験、創造性、心的現実と外的現実の関係を論じた連作からなる。中心概念は「移行対象」、乳児が手放さないぬいぐるみや毛布など、母と外的世界の中間に位置する対象である。この中間領域こそ遊びが起こる場であり、ひいては芸術や宗教、文化体験全般の源泉だとした。ほど良い母親の応答が子に持続する自己感を育て、その自己感から外界へ開かれていく筋道を、臨床事例を交えて描く。

【影響と意義】

精神分析を内的葛藤の理論から、母子という二者関係を出発点に置く対象関係論へ転換した記念碑的著作。発達心理学、児童療法、芸術療法、宗教心理学に広く影響を与えた。「移行対象」「ほど良い母親」は学術用語の枠を越えて、現代の育児書や日常語にまで浸透している。

【なぜ今読むか】

スマートフォンやSNSが移行対象の新しい形を担う現代において、本書の遊び論・中間領域論は驚くほど示唆的である。子育てや創造性、人と物の関わりについて、別の角度から考え直す手がかりが詰まっている。

著者

関連する哲学者と話してみる

Amazonで見る