最
『最小主義プログラム』
さいしょうしゅぎぷろぐらむ
ノーム・チョムスキー·現代
生成文法を最も簡素な計算体系へと切り詰める最新プログラム
哲学
この著作について
ノーム・チョムスキーが1995年にMITで公刊した論文集。1980年代の原理・パラメータ理論に続く生成文法の最新枠組み『ミニマリスト・プログラム』を提示した、チョムスキー後期言語学の中核をなす理論書である。
【内容】
全4章。中心的テーゼは、人間言語の計算体系は「概念・意図システム」と「感覚・運動システム」という外部条件を満たすために最小限の設計になっているはずだ、という「必然性からの議論」である。深層構造と表層構造の区別を廃し、語彙項目から直接に論理形式と音声形式を生成する経済性・最適性の原則のみを残す。併合(merge)と移動(move)という二つの基本操作の上に統辞を再編し、従来のさまざまな理論装置を計算経済性の視点から捨てていく。
【影響と意義】
生成文法内部の標準枠組みとなり、統辞論・音韻論・比較言語学のあらゆる分野でミニマリスト的再定式化が進んだ。認知科学・AI・進化言語学への橋渡しとして、言語能力の進化的起源を問う「言語の起源」論争の中心にも位置する。
【なぜ今読むか】
脳と機械のあいだで言語能力を捉え直す流れのなかで、人間言語の計算上の本質をめぐるチョムスキーの最終的回答を知るための不可欠の一冊である。