フィロソフィーマップ

科挙

かきょ

宮崎市定·現代

儒教が中国社会に制度化された歴史を描いた宮崎市定の名著

Amazonで見る
歴史

この著作について

京都学派の東洋史学を代表する宮崎市定《みやざきいちさだ》が、千三百年続いた中国の官僚登用制度を総合的に描いた名著。

【内容】

本書は科挙の実務から入っていく。地方の県試、府試、省試、京師の会試、そして最終の殿試に至るまでの過程、答案のかたち、不正防止のための封弥《ふうみ》や謄録《とうろく》、合格発表と「登第」祝いの慣習、受験生の宿舎や家族の心理までが、筆致の細部まで描き出される。あわせて、隋唐期の科挙の誕生、宋代の試験体系の整備、明清の八股文による硬直化、清末の廃止までの歴史的流れが説かれる。試験の技術的詳細が、単なる制度史にとどまらず、中国社会全体の身分秩序・教育熱・家族戦略・文学文化を動かしてきた装置として立ち上がってくる。

【影響と意義】

中公新書として長く読み継がれ、日本語圏での中国制度史・教育史の入門書の定番となっている。隣国朝鮮王朝のムングァ、ベトナム阮朝の科挙、近代日本の高等文官試験、現代中国の公務員試験に至るまで、東アジアの教育制度を考える際の共通の出発点になる。

【なぜ今読むか】

受験競争、学歴社会、資格と採用の制度設計に違和感を抱く現代人にとって、千年以上続いた壮大な試験国家の姿は、現在の教育と雇用を考えるための歴史的な鏡として大きな示唆を与える。

関連する思想

Amazonで見る