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イエスという男

いえすというおとこ

田川建三·現代

歴史上のイエスの実像に迫る研究書

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宗教入門

この著作について

新約聖書学者・田川建三《たがわけんぞう》が、信仰の対象としてではなく歴史上の人物としてイエスを読み直した、戦後日本の聖書学に衝撃を与えた研究書。

【内容】

本書はマルコ福音書を中心に新約諸文書の資料批判を徹底的に行い、教会による教義化以前の「逆説的反逆者」としてのイエス像を復元しようとする。当時の一世紀パレスチナにおけるローマ支配、サドカイ派・ファリサイ派・エッセネ派・熱心党といった諸勢力の緊張、神殿体制と貧しい民衆の関係、癒しと説教をめぐるガリラヤの民衆運動といった社会史的文脈のなかで、イエスの挑発的言行が読み直される。律法主義、権力、富、家族といった既成の価値秩序への徹底した異議申立てとしてイエスが描かれる。

【影響と意義】

戦後日本の聖書学・神学に大きな論争を引き起こし、教会外でもイエス理解を変えた記念碑的著作となった。著者の『新約聖書 訳と註』『書物としての新約聖書』とあわせて、信仰者・非信仰者を問わず、イエスという人物を自分の頭で考え直す契機を日本語圏に提供した。

【なぜ今読むか】

権威や通説に容易に屈しない独立した知性と、一次資料への徹底した拘りが一貫している。激しい文体の背後にあるテクストへの誠実さに触れることで、「思い込み」を剥がす読書の作法を学べる書物である。

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