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一遍《いっぺん》上人語録

いっぺんしょうにんごろく

一遍·中世

遊行の聖・一遍の言葉と和讃を集めた時宗の根本典籍

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宗教日本

この著作について

鎌倉末期の遊行僧・一遍(いっぺん、1239〜1289)の言葉・法語・和讃《わさん》・消息などを、弟子たちが後に編纂した時宗の根本典籍。一遍自身は「紙に書いて残すこと」すら執着として退け、臨終に際して持っていた書物をすべて焼き捨てたと伝えられ、本書は遺された断片と門弟の記憶から成り立つ。

【内容】

念仏の勧めを短い偈(げ)と法語で語る「一遍上人語録」と、踊り念仏の場で歌われた和讃群を中心に構成される。「名号そのものが南無阿弥陀仏なり」と説き、信心の有無にかかわらず名号を称えることで往生が定まるとする徹底した他力思想が貫かれる。全国を遊行しながら遊女・乞食・罪人にまで念仏札を配った生涯の姿勢が、言葉の端々に息づく。

【影響と意義】

時宗の教学の出発点であり、鎌倉新仏教のなかで最も民衆の生活に近い宗派の思想を知るための一次資料である。柳田國男、折口信夫らによる「遊行」の民俗学的研究でも繰り返し参照された。

【なぜ今読むか】

所有への執着を徹底的に手放した一遍の生き方は、所有と自己呈示に疲れた現代の読者に独特の解放感を与える。短い章句を拾い読みするだけでも手触りが届く。

著者

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