グ
『グスコーブドリの伝記』
ぐすこーぶどりのでんき
宮沢賢治·近代
冷害から農民を救うため自ら火山島に残る少年技師を描いた賢治晩年の童話
文学
この著作について
宮沢賢治が1932年、死の前年に公刊した童話。それまで同じ題材で複数回書き改めた自伝的性格の強い最終形で、賢治の晩年の宗教観と社会観が凝縮された作品である。
【内容】
冷害に家族を失い一人生き残った少年ブドリは、イーハトヴ火山局の技師として農民を救う仕事に生涯を捧げる。冷害を防ぐため火山の人工爆発が必要となった最後の場面で、誰か一人がその島に残って作業を完遂し犠牲となるしかないと判明したとき、ブドリは仲間の老技師ではなく自分が残ることを選び、命をもって翌年以降の豊作を贈る。法華経に基づく捨身・菩薩行の物語として読まれることが多く、賢治の宗教的実践理想が物語の骨格をなす。
【影響と意義】
科学技術と宗教的自己犠牲を不可分に結んだ近代日本文学の稀有な達成として、戦後教育の道徳教材にも繰り返し採録された。原発事故や気候変動の文脈で意味を再検討されることも増えている。
【なぜ今読むか】
気候危機の時代に「科学による社会変革」と「自己犠牲の倫理」の交点を最も早く描いた童話として、一層重要性を増している。
著者
関連する哲学者と話してみる
