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現代日本の開化

げんだいにほんのかいか

夏目漱石·近代

明治日本の文明開化を「外発的」と批判した漱石の文明論講演

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日本思想文化

この著作について

夏目漱石が1911年8月、和歌山で行った講演の筆記録。後に『社会と自分』所収。明治日本の急速な近代化を、漱石が文明論として総括した代表的論考である。

【内容】

漱石は「開化」を内発的な西洋近代と外発的な明治日本に区別する。西洋では数百年かけて自前で発酵した文明が、日本では幕末から半世紀のうちに外圧によって取り入れられたため、表面の形式は近代だが内面は伝統に根ざしたままという二重構造が生じる。その結果、近代の歩幅に追いつこうと無理な努力を強いられた個人は神経衰弱に陥り、社会全体として「上滑りな開化」しか達成できないと診断する。漱石自身が経験したロンドン留学と帰国後の苦悩が、この文明診断の背景に色濃く反映している。

【影響と意義】

本書は丸山眞男《まるやままさお》・竹内好をはじめとする戦後の近代日本批判の議論で繰り返し参照され、日本における「近代の超克《ちょうこく》」論や「敗戦後論」にまで射程を伸ばす重要な原型となった。和辻哲郎《わつじてつろう》の風土論、加藤周一の雑種文化論、近年の東アジア近代化論まで、非西洋近代の自己理解の出発点となっている。

【なぜ今読むか】

グローバル化のなかで自分たちの「内発」と「外発」を見分ける困難は、漱石の時代以上に切実であり、文明論の古典として読み返す価値がある。

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