放
『放下』
ほうげ
マルティン・ハイデガー·現代
技術文明への抗いを説いた後期ハイデガー基本書
哲学現象学技術哲学
この著作について
【内容】1959年に刊行された原題『Gelassenheit』の邦訳である。1955年メスキルヒでの郷土詩人記念講演「放下」と、対話篇「放下に向けての省察への一つの手引き」を収める。エックハルトの中世ドイツ語Gelâzenheit(離脱)の伝統を引き受けつつ、計算的思考と意志的形而上学から離れて存在の真理に身を開く態度を「放下」と呼ぶ。
【影響と意義】後期ハイデガーの思惟転回(Kehre)を最も平易に示す基本文献である。技術(Gestell)の支配に対抗する仕方として、抵抗でも逃避でもなく「物への放下」と「秘密への開け」を提示した点に独自性がある。環境哲学、技術哲学、神学、そして禅との対話など、戦後思想の広汎な領域に決定的な影響を残した。
【なぜ今読むか】AIや巨大技術系が日常を覆う現代において、技術と人間の関係を主体性の座から問い直すこの小著の射程はむしろ拡大している。受け身でも操作でもない「放下」の構えは、過剰な意志の文化に静かな対案を差し出す。
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