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倫理学:正と不正の発明

りんりがく せいとふせいのはつめい

J・L・マッキー·現代

錯誤理論を提唱したメタ倫理学の代表作

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倫理哲学

この著作について

オックスフォード大学の哲学者ジョン・レスリー・マッキーが1977年に公刊したメタ倫理学の代表作(原題『Ethics: Inventing Right and Wrong』)。

【内容】

マッキーは有名な「錯誤理論(error theory)」を展開する。日常の道徳的言明(「殺人は不正だ」など)は客観的事実を主張しているように見えるが、世界には実際にそのような客観的道徳的性質は存在しない。したがって全ての道徳的言明は文字通り偽である、というのが本書の中心テーゼ。彼はこれを二つの議論で支える。第一の「相対性論証」は、道徳判断が文化・歴史によって大きく異なる事実から客観的真理の存在を疑う。第二の「奇妙さ論証(queerness argument)」は、客観的価値があったとしてそれは認識論的にも形而上学的にも極めて奇妙な存在であり、節約原理から否定すべきだと主張する。後半では、道徳の客観性を否定した上で、なお実践的・契約論的観点から有用な道徳の構築可能性を探る。

【影響と意義】

メタ倫理学における道徳実在論/反実在論論争の中心テクスト。後の構成主義(コルスガード)、表出主義(ブラックバーン)、虚構主義(ジョイス)など多様な反実在論の出発点となった。

【なぜ今読むか】

道徳判断の本性を哲学的に問う最も鋭利な議論。倫理が何でできているかを根本から考えたい読者の出発点。

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