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方法序説

ほうほうじょせつ

デカルト·近代

「我思う、ゆえに我あり」で知られる近代哲学の出発点

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哲学

この著作について

オランダに移住した数学者ルネ・デカルトが17世紀前半、ラテン語ではなく日常のフランス語で公刊した、近代哲学の幕開けを告げる短い自伝的哲学書。

【内容】

全6部構成。第1部は青年期の学業への失望、第2部は思考を導く4つの規則(明証性・分析・総合・枚挙)、第3部は探究の途中でも平静に暮らすための「仮の道徳」、第4部は方法的懐疑と有名な「我思う、ゆえに我あり」の発見、第5部は動物機械論と人間の例外性、第6部は科学を公開して社会に役立てる意義、と続く。自伝的語りのなかに、近代哲学の基本ツールがすべて詰め込まれている。

【影響と意義】

ラテン語の学術界に閉じず、日常語で書かれた点が画期的だった。明晰で判明な観念を真理の基準に据えた合理主義の宣言書であり、以後の哲学史はその応答として進んだといっても過言ではない。心身二元論は現代の心の哲学やAIをめぐる議論でも必ず参照される出発点となっている。

【なぜ今読むか】

100ページほどの短さで、一人の思索者が真理を求めて格闘する姿を自伝として読める。「自分の頭で考える」とはどういうことかを、もっとも具体的に示してくれる哲学入門の決定版。

さらに深く

【内容のあらまし】

冒頭、デカルトは意外にも自慢ではなく失望から書き始める。当時最高峰とされたラ・フレーシュ学院で論理学・神学・古典をひととおり学んだものの、確実な知に到達できた感じがしない。そこで彼は「書物の学問」を捨て、「世界という大きな書物」を読むために旅に出る。三十年戦争に従軍した冬のある夜、暖炉のある一室にこもって考え抜いたのが、本書の核となる「四つの規則」だった。明らかに真と認めたものだけを受け入れよ、問題はできるだけ細かく分けよ、単純なものから複雑なものへ進め、何も見落としていないか枚挙して確認せよ。たった四つだが、これは数学的精神を哲学に持ち込む宣言である。

ただし方法を立てているあいだも生活は続く。だから第3部で彼は「仮の道徳」を提案する。国の法と慣習に従い、いったん決めたことはぐらつかず実行し、世界より自分の欲望を変える方を選ぶ。地味だが、思索者の生活上の知恵として印象に残る一節だ。

そして第4部、有名な場面が来る。確実な真理を求めるため、デカルトはあらゆるものを疑ってみる。感覚は錯覚するから疑える。数学の真理さえ悪い神に欺かれているかもしれない。しかし「疑っている自分」だけは疑えない。「我思う、ゆえに我あり」。この一点を礎石に、彼は神の存在と物体世界の実在を順に再建していく。

第5部では動物の体を精巧な機械として説明する一方、人間だけは言葉を話し、状況に応じて理性を使うので機械では再現できないと論じる。心と体を別ものとする「心身二元論」がここで生まれる。第6部では研究成果を公開するか迷った理由を率直に綴り、医学の進歩で人類の生活が改善することへの期待で本を閉じる。哲学書というより、一人の人間が考え方の道具を組み立てていく記録として読める。

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