「
『「死」とは何か』
し とは なにか
シェリー・ケーガン·現代
死後の存続・不死・自殺など死の哲学をイェール大学の名物講義をもとに論じた一冊
哲学
この著作について
イェール大学の哲学教授シェリー・ケーガンが長年行ってきた人気講義「死」を書籍化した、死をめぐる分析哲学の入門書。
【内容】
前半では、身体とは独立した魂があるかどうかが検討される。ケーガンはデカルト的な二元論、古代ギリシア以来の不滅の魂の議論、臨死体験に基づく推論などを順に点検し、どれも証拠として説得的ではないと結論する。人間は物理的な身体と精神活動の複合体であり、死とは機能の停止であるとする立場がとられる。後半では「死は悪いのか」「不死は望ましいのか」「自殺は許されるのか」「死の恐怖は合理的か」といった問いが扱われる。死の悪さを将来の善を奪うことと捉える剥奪説、永生のパラドクス、選択的自殺の道徳性など、現代英米倫理学の洗練された議論が、明晰な具体例とともに整理されていく。
【影響と意義】
原題は平易な『Death』で、オンライン公開された講義映像が世界的に再生された。日本でも新書版がベストセラーとなり、哲学書としてはまれな一般読者との接点を作った。分析哲学の「死の哲学」の現代的スタンダードの一つとされる。
【なぜ今読むか】
終活や身近な人の看取りが具体的な課題となる時代に、「死とは何か」「なぜ怖いのか」を感情だけでなく論理で点検する機会を与えてくれる。一章ずつ独立に読めるため、必要な論点から手を伸ばせる構成も魅力である。