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音楽教程

おんがくきょうてい

ボエティウス·古代

中世音楽理論の基礎を築いたラテン語の音楽書

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音楽理論中世自由学芸

この著作について

古代末期のローマ哲学者ボエティウス(6世紀)による音楽理論書で、原題は『音楽教程』(De institutione musica)である。全5巻のうち第5巻は途中で終わっている。

【内容】ピタゴラス派以来の数比的音楽理論をラテン語に伝え、音程を数の比として捉える立場を体系的に展開する。協和音程の数学的根拠、音階の構成、テトラコードの種類、旋法論などが論じられる。とりわけ「世界の音楽(musica mundana)=天体の運行が奏でる調和」「人間の音楽(musica humana)=心身の調和」「楽器の音楽(musica instrumentalis)=実際に響く音」という三区分は、中世音楽理論の基本枠組みとなった。

【影響と意義】中世大学のクァドリヴィウムにおける音楽部門の標準教科書として用いられ、近世初頭に至るまでヨーロッパの音楽思想を規定し続けた。音楽を単なる芸術ではなく、宇宙と人間を貫く調和の学問として位置づける見方は、本書を通じて長く継承された。

【なぜ今読むか】完訳邦訳は確認できないが、音楽が数学・天文学と同列の学問として扱われた歴史的文脈を理解するうえで欠かせない著作である。芸術と科学の分離以前の知の姿に触れる手がかりとなる。

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