算
『算術教程』
さんじゅつきょうてい
ボエティウス·古代
中世自由七科の四科の基礎をなす算術書
数学中世自由学芸
この著作について
古代末期のローマ哲学者ボエティウス(6世紀)が、新ピタゴラス派ニコマコスの『算術入門』を翻案してラテン語で著した算術書である。原題は『算術教程』(De institutione arithmetica)である。
【内容】数の定義と分類、奇数・偶数および素数・合成数の区別、比と比例、図形数(三角数・四角数・立方数など)といったピタゴラス派以来の数論的主題を体系的に整理する。実用的計算術というよりも、数の本性を哲学的に観想する立場で書かれており、数学を真理探究の予備学とみなす古代以来の伝統を継承する。後の音楽論とも比例論を通じて緊密に結びつく構成である。
【影響と意義】中世の自由七科のうち四科(クァドリヴィウム=算術・幾何・音楽・天文)の算術部門の標準教科書として、修道院学校から大学まで広く用いられた。ヨーロッパ中世が古代ギリシア数学の遺産にアクセスする主要な経路の一つとなり、12世紀のアラビア経由の数学受容まで支配的位置を占めた。
【なぜ今読むか】完訳邦訳は確認できないが、中世における学問の体系がいかに古代から継承され、神学への準備として位置づけられたかを知る上で重要な著作である。教養概念の歴史を考える素材となる。
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