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武士道 その名誉の掟

ぶしどう そのめいよのおきて

笠谷和比古·現代

笠谷和比古による歴史的・学術的な武士道論の入門書

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哲学

この著作について

近世史家・笠谷和比古《かさやかずひこ》が、武士道の実像を史料から再構築した学術的入門書で、イメージ先行の武士道論に冷静な補助線を引いた著作。

【内容】

本書はまず、戦国末期から江戸初期にかけての武士の生活実態から出発する。主君との関係、家の継承、俸禄と家禄、名誉と恥の感覚、喧嘩両成敗、仇討ち、切腹作法、奉公と忠節などが、実際の史料と事件をもとに丁寧に描き直される。続いて、山鹿素行、貝原益軒、熊沢蕃山らによる武士道思想の哲学的深化、葉隠《はがくれ》の位置づけ、幕末期の変質、明治以降の新渡戸稲造《にとべいなぞう》武士道や陸軍による国民道徳化、戦後の再評価までが追跡される。著者は、美化された理念としての武士道と、実際の家社会の論理との距離を絶えず意識する。

【影響と意義】

角川ソフィア文庫として長く版を重ね、歴史学者による実証的な武士道入門の代表作となっている。新渡戸の『武士道』や葉隠のような思想書とは別の、一次史料に基づく理解の道筋を提供した点に特徴がある。

【なぜ今読むか】

「日本的な勇気」「忠誠」「名誉」といった語彙がビジネス書や政治的言説で繰り返し用いられるなか、その歴史的実態を史料から確かめ直すことは、神話化されたイメージから距離を取るうえで大いに役立つ。

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