黒
『黒ノート』
くろのーと
マルティン・ハイデガー·現代
ハイデガーの私的思索ノート。反ユダヤ主義論争を再燃させた
哲学ハイデガー現代思想
この著作について
ハイデガーが1931年以降書き継いだ私的な思索ノートで、ハイデガー全集第94巻以降として2014年から独語公刊が始まった。
【内容】黒い表紙の手帳に記された省察(Überlegungen)・註記(Anmerkungen)などのテキスト群で、ハイデガー自身の生前の指示により全集の最後に配されることになっていた。哲学的思索とともに、当時の政治・大学・同時代人への辛辣な批評が含まれる。とりわけ公刊によって明らかになった反ユダヤ主義的記述、すなわちユダヤ性を「世界の計算的合理化」の担い手として描き出す箇所は大きな衝撃を与えた。
【影響と意義】公刊以降、ハイデガー哲学とナチズムの関係をめぐる長年の論争が再燃した。彼の存在思索そのものに反ユダヤ的構造が組み込まれていたのか、あるいは個人的偏見にとどまるのかをめぐり、国際的に活発な議論が続いている。日本でも『ハイデガー哲学は反ユダヤ主義か:「黒ノート」をめぐる討議』(水声社, 2017)や「現代思想」2018年2月臨時増刊号(青土社)などで取り上げられた。
【なぜ今読むか】思想と思想家の人格・政治的責任の関係をどう考えるかという根本問題を、最も先鋭な形で突きつける資料として、思想史を学ぶ者にとって避けて通れない。
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