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善悪の彼岸

ぜんあくの ひがん

ニーチェ·近代

既存の道徳を根底から問い直したニーチェの思想的主著

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哲学

この著作について

ニーチェが1886年に公刊した、西洋の道徳的前提を根底から批判する思想的主著。

【内容】

副題は「未来の哲学へのプレリュード」。冒頭で「真理への意志とは何か」と問いを立て、従来の哲学者たちが真理を追い求めると称して実際には自分の「力への意志」を投影してきたと暴く。キリスト教道徳は弱者が強者に対して発明した「奴隷道徳」だと分析され、古代貴族的な「主人道徳」との対比が提示される。善悪の彼岸に立ち、自ら価値を創造する「自由な精神」が呼びかけられる。箴言的な短章の集積として、読者を挑発し続ける構成をとる。

【影響と意義】

道徳そのものを歴史的・心理的に疑う視点を開いた点が画期的で、フーコーの権力論、デリダの脱構築など、20世紀後半のポストモダン思想の重要な源泉となった。道徳の起源を問うという発想は、現代のメタ倫理学の基本課題を先取りしている。

【なぜ今読むか】

「怪物と戦う者は、自分も怪物にならないよう気をつけなければならない。深淵を覗き込むとき、深淵もまたお前を覗き込んでいる」など、名句の宝庫。正義を語る言葉に潜む権力への意志を見抜く訓練として、現代の論争疲れに効く処方箋となる。

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