フィロソフィーマップ

ベンヤミン「複製技術時代の芸術作品」精読

べんやみん ふくせいぎじゅつじだいのげいじゅつさくひん せいどく

多木浩二·現代

ベンヤミン中期の代表的論文を逐語的に読み解く岩波現代文庫の精読書

Amazonで見る
哲学美学メディア論

この著作について

【内容】美術評論家・思想史家の多木浩二が、ヴァルター・ベンヤミンの中期論文複製技術時代の芸術作品を逐語的に読み解いた精読書である。岩波現代文庫から2000年に刊行された。原論文の全訳を巻末に収め、礼拝価値から展示価値への転換、アウラの凋落、映画における視覚の集合的構造、ファシズムによる政治の美学化と、それに対抗する芸術の政治化という一連のテーゼを、ベンヤミンの他のテクストや同時代の思想史的文脈に置き戻しながら一文ごとに注釈する構成を取る。

【影響と意義】従来の日本のベンヤミン受容ではパサージュ論や歴史哲学テーゼに関心が集中しがちであったが、本書は複製技術論を起点としたメディア論的・美学的読解を整備した点で広い読者を獲得した。芸術理論、映画研究、写真論、メディア論など多領域からのベンヤミン参照を媒介する標準的入門書として機能してきた。著者の他の写真論・身体論とも響き合いながら、思想史と現代芸術批評を接続する読みを提示している。

【なぜ今読むか】生成AIや動画配信が芸術経験を再編する現在、礼拝価値と展示価値の弁証法はあらためて切実な論点となる。原論文を独力で読みこなすには文脈が要るため、注釈付き精読書として本書の伴走的な読解は今も有効である。

関連する哲学者

関連する哲学者と話してみる

Amazonで見る