ア
『アメリカ 砂漠よ永遠に』
あめりかさばくよえいえんに
ジャン・ボードリヤール·現代
ハイパーリアルな大陸を巡るボードリヤールの旅行記
哲学社会
この著作について
原著 Amérique(1986年)。ジャン・ボードリヤールがアメリカ大陸を横断した経験から書き起こした旅行記であり思想エッセイである。田中正人訳により1988年に法政大学出版局の叢書ウニベルシタス232として刊行された。
【内容】
ニューヨーク・ロサンゼルス・砂漠地帯・ラスベガス・ソルトレイクを巡る紀行のかたちを取りながら、アメリカという文明そのものの哲学的読解が試みられる。ボードリヤールが見るアメリカは、ヨーロッパが思想として論じてきたものを物質と空間において実現してしまったユートピアであり、同時に砂漠化した文明である。ハイパーリアル・シミュラークル・象徴交換といった既存概念が具体的風景に投射され、高速道路・モーテル・ジョギング・テレビ画面の細部から文明論が立ち上がる。詩的で挑発的な散文が随所で飛躍する。
【影響と意義】
ポストモダン思想を代表するアメリカ論として広く読まれ、文化人類学的紀行と思想エッセイのハイブリッドな形式を確立した。後のヴィリリオやバウマンの文明論にも影響を残し、日本でも社会学・建築論・都市論の参照点となった。
【なぜ今読むか】
SNSと画像が現実を覆い尽くす現在こそ、シミュラークル論の射程は伸びている。アメリカを思想として読むという挑発は、グローバル化以後の世界像を考える材料になる。
著者
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