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レディング監獄のバラード

れでぃんぐごくのばらーど

オスカー・ワイルド·近代

出獄後のワイルドが書いた死刑囚への哀歌

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文学

この著作について

オスカー・ワイルドが1897年、二年の獄中生活を終えた直後にフランスで書き上げ、1898年にロンドンで公刊した詩作品。同房だった近衛兵の死刑執行を目撃した体験を核に据えた109連のバラードで、ワイルドが生前に公刊した最後の作品でもある。

【内容】

独特の6行連を積み重ねて、妻殺しで死刑判決を受けた青年近衛兵がレディング監獄で絞首刑に処されるまでの日々と、囚人全員がその影を背負って生きる獄中の光景を描く。「人はみな愛するものを殺す」という有名なリフレインが全篇を貫き、社会の司法・宗教・道徳による冷徹な殺人と、犯人自身の愛と罪が重ね合わされる。唯美主義の時代のワイルドとは別人のような、抑制された沈痛な調子が特徴である。

【影響と意義】

19世紀末イギリス詩の最高傑作のひとつとされ、監獄文学・死刑制度への批判の伝統のなかで参照され続けている。出獄後のワイルドの最晩年の精神史を伝える貴重な一次資料でもある。

【なぜ今読むか】

死刑制度をめぐる国際的な議論がなお続くなか、観念ではなく一人の人間の命の重さから書かれたこの詩は、いまも痛切な読後感を残す。

著者

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