芸
『芸術と美的なもの』
げいじゅつとびてきなもの
ジョージ・ディッキー·現代
「制度的芸術理論」を確立した分析美学の代表作
美学哲学
この著作について
イリノイ大学シカゴ校の哲学者ジョージ・ディッキー(1926〜2020)が1974年に公刊した、分析美学の代表作(原題『Art and the Aesthetic: An Institutional Analysis』)。芸術の定義に関する「制度的芸術理論(institutional theory of art)」を確立した記念碑的著作である。
【内容】
ディッキーは、芸術を内在的性質(美しさ・表現性・形式的特性など)から定義しようとする伝統的アプローチが、デュシャンの便器(『泉』)やポップアートなど現代芸術の登場によって破綻したと指摘する。彼が提示する代替案では、ある人工物が芸術作品であるのは、それが「芸術界(artworld)」と呼ばれる社会的制度の中で、その制度を代表する人物(学芸員・評論家・キュレーターら)によって「鑑賞の候補」という地位を授与されたからだ、と定義される。これにより、内在的性質ではなく社会的・制度的承認が芸術定義の鍵となる。本書は、デュシャン以後の芸術論の中心命題を体系化した。
【影響と意義】
アーサー・ダントーの「芸術界」概念を発展させ、現代分析美学・芸術哲学の中心争点を形成した。ノエル・キャロルらの「歴史的定義」と並ぶ、現代芸術定義論の二大潮流の一つ。美術館学・キュレーション論・アートマネジメントの理論的基盤にも影響大。
【なぜ今読むか】
NFT・AI生成画像・現代美術の境界が曖昧化する現代に、何をもって芸術と呼ぶかを考えるための古典的枠組み。