『星の王子さま』
ほしの おうじさま
サン=テグジュペリ·現代
大切なものは目に見えないことを教えてくれる永遠の名作
この著作について
作家にしてパイロットのアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリが亡命先のニューヨークで1943年に発表した、大人と子どもの違い、愛と責任について寓話的に描く世界的名作。
【内容】
サハラ砂漠に不時着した飛行士の「ぼく」が、小さな小惑星B-612からやってきた王子さまと出会う。王子さまは自分の星に残してきた一輪のバラとの関係を語り、旅の途中で訪ねた六つの星の大人たち――王さま、虚栄家、酔っぱらい、実業家、点燈人、地理学者――の滑稽さを報告する。地球ではキツネと出会い、「飼いならす」こととは唯一の関係を結ぶことであり、「大切なものは目に見えない」という真理を学ぶ。最後、王子さまはヘビに噛まれて地上の身体を脱ぎ捨て、自分の星へと帰っていく。
【影響と意義】
聖書・コーランに次いで世界でもっとも多く翻訳された書物の一つとされ、300以上の言語版が存在する。子ども向けの童話の体裁をとりながら、大人のための深い寓話を含む稀有な作品で、世代と国境を超えて愛されている。
【なぜ今読むか】
「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ」というキツネの言葉は、あらゆる年代の読者の心に響く。大切な人や物事との関わりを改めて確かめたいときに開きたい一冊。
さらに深く
【内容のあらまし】
物語の語り手はかつての少年で、いまは飛行士である。子どもの頃、ボアの蛇が象を飲み込んだ絵を描いたが、大人たちは帽子としか見てくれなかった。彼は絵描きの夢をあきらめ、地理と算数を学んで操縦士になった。
ある夜、サハラ砂漠で機体が故障し、人里から千マイル離れた砂のなかに不時着する。眠ろうとしたとき、不思議な小さな声に起こされる。羊の絵を描いてくれ、と頼む金髪の少年が立っている。彼が王子さまだった。会話を重ねるうちに、王子さまは小さな小惑星から来たことがわかってくる。星にはバオバブの芽を抜く仕事と、夕日を椅子の場所をずらして何度も見る習慣と、何より、ある日突然咲いた一輪のバラがあった。バラはわがままで、プライドが高く、王子さまは彼女の言葉に傷ついて旅に出てしまった。
王子さまが訪ねた六つの星の話が続く。命じることだけを生業にする王、拍手を求める虚栄家、酒を飲んで酒を恥じる酔っぱらい、星を所有していると主張する実業家、規則のために夕暮れごとに街灯を点けたり消したりし続ける点燈人、自分の星を見たことのない地理学者。それぞれは大人の世界の戯画として描かれる。
地球に降りた王子さまは、まずは砂漠で蛇に出会い、続いて薔薇の咲き乱れる庭を見て愕然とする。自分のバラが世界に一つだと信じていたのに、と。そこへキツネが現れて「飼いならす」ことを教える。誰かを飼いならすとは、関係をかけがえのないものにすることだ。だから君のバラはあれだけ世界で一つなのだ、と。大切なものは目に見えないという秘密が、ここで授けられる。
語り手と王子さまは砂漠の井戸へたどり着き、星明かりの下で水を分け合う。翌日、王子さまは自分の星に帰る決意を語り、蛇の毒を借りて重い体を脱ぎ捨てると約束する。夕方、彼は静かに砂の上に倒れ、姿を消す。語り手はやがて飛行機を直して飛び立つ。砂漠のあの場所をもう一度見つけたら、しばらく星空の下で待っていてほしい、と読者に呼びかけて、物語は閉じる。
著者
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