成
『成長の限界』
せいちょうのげんかい
ローマクラブ·現代
資源・人口・環境の限界を世界モデルで予測した1972年の警告書
環境科学政治
この著作について
ローマクラブの委託を受け、デニス・メドウズらMITの研究チームが1972年に発表した『The Limits to Growth』の邦訳。グローバル環境問題を世界モデルで定量化した初の試みとして歴史的影響を残した報告書である。
【内容】
システム・ダイナミクスの手法を用いて、世界の人口・食糧・工業生産・資源消費・環境汚染という五つの変数を相互作用するシステムとしてモデル化し、複数のシナリオでシミュレーションする。現状の指数関数的成長を続ければ、二十一世紀のうちに地球システムが「成長の限界」に達して急激な崩壊が起こると警告した。技術進歩や資源効率の改善を組み込んでも、成長そのものを抑制しなければ崩壊の時期を遅らせるだけにすぎないという結論は、当時の進歩主義的世界観に根本的な疑問を投げかけた。
【影響と意義】
世界40か国以上で翻訳されベストセラーとなり、地球環境問題が世界政治の議題となる転換点を作った。1992年の『成長の限界 二十年後』、2004年の『成長の限界 三十年後』と継続的に改訂され、当初予測の妥当性が議論されてきた。1992年地球サミットや国連持続可能な開発目標の理論的源流として位置づけられる。
【なぜ今読むか】
気候危機が現実化した二十一世紀に、五十年前の警告がいかに先見的だったかを確認するための基礎文献である。