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『「レ・ミゼラブル」百六景』
れみぜらぶるひゃくろっけい
鹿島茂·現代
19世紀パリの図像資料からユゴーの大長編を読み解いたヴィジュアル評論
文学歴史
この著作について
フランス文学者・鹿島茂が、ユゴーの大長編『レ・ミゼラブル』を19世紀パリの図像資料を駆使して再構成した評論である。1987年に文藝春秋から刊行され、後に文春文庫にも収められた。
【内容】
物語の舞台となる七月王政期から第二共和政・第二帝政期のパリを、銅版画・石版画・新聞挿絵・風俗図譜などから百六枚の図版を選び出し、それぞれに解説を付して場面を再現する構成をとる。ジャン・ヴァルジャンが歩いたモントルイユ=シュル=メールの工場地帯、コゼットが水を汲んだ郊外の井戸、ガヴローシュが死んだバリケード、マリユスが暮らしたゴルボー屋敷など、ユゴーが描いた都市と風俗の細部に光をあてる。
【影響と意義】
小説の文学的解釈ではなく、当時の生活文化と都市景観の側からユゴーを再読する試みとして独自の位置を占める。鹿島自身が蒐集した稀覯本コレクションを基にしており、原作を読み終えた読者が時代背景を視覚的につかみ直す副読本として広く参照されてきた。
【なぜ今読むか】
ユーゴーの長編を読む際の図像的副読本として、また 19 世紀フランス社会史の入口として、いまも独自の魅力を放つ一冊である。