第
『第三身分とは何か』
だいさんみぶんとはなにか
シェイエス·近代
国民主権の理論的結晶となったフランス革命前夜のパンフレット
政治
この著作について
聖職者で政治家のエマニュエル=ジョゼフ・シェイエス(1748〜1836)が1789年1月、三部会の招集を前にパリで匿名刊行した政治パンフレット。フランス革命の理論的火薬庫となった文書である。
【内容】
冒頭に置かれた三つの問いが本書の骨格を成す。「第三身分とは何か。すべてである。これまで政治秩序のなかで第三身分は何であったか。何ものでもなかった。第三身分は何を要求するのか。何ごとかになることを」。シェイエスは聖職者・貴族の特権を自然法と功利の両面から否定し、有用な労働と納税の担い手である第三身分こそが国民そのものであると論じ、特権身分から独立した国民議会の樹立を要求した。憲法制定権力(ピュヴワール・コンスティテュアン)と憲法によって設置された権力の区別という近代政治理論の中核概念を、本書で初めて明確に定式化した。
【影響と意義】
本書は三部会開幕後の国民議会成立、そしてバスティーユ襲撃へとつながる革命の思想的火種となった。憲法制定権力論はカール・シュミット、ハンナ・アーレント、近年のアントニオ・ネグリにいたる現代政治哲学の重要な参照点であり続けている。
【なぜ今読むか】
「誰が憲法をつくる権利を持つのか」という根源的な問いを、危機の時代に最も鋭利な形で示した政治哲学の出発点である。