饗
『饗宴』
きょうえん
プラトン·古代
プラトンが「愛(エロス)」の本質を対話形式で探求した哲学的名著
哲学
この著作について
プラトンが愛(エロス)の本質を対話形式で探求した傑作。宴席を舞台にした劇的構成の中に、哲学と文学の融合が際立つ。
【内容】
悲劇詩人アガトンの優勝祝いに集まったソクラテスら知識人たちが、順番にエロス賛美の演説を行う。アリストファネスは「かつて人間は二つに分かれた一つの存在で、愛とは失われた片割れを探し求める営みだ」という神話を語る。最後にソクラテスが巫女ディオティマから聞いた教えとして、エロスとは欠けたものが完全なものへ向かう衝動であり、肉体的な美から出発して最終的に「美そのもの」のイデアへ上昇していく階梯だと論じる。
【影響と意義】
西洋における愛の哲学的考察の出発点であり、「プラトニック・ラブ」という語の起源となった。ルネサンスのフィチーノを介して近代の芸術観・恋愛観に深く食い込み、精神的愛と肉体的愛をめぐる議論の枠組みを設定した。文学作品としての完成度も高く、哲学と詩が分かたれていなかった時代の到達点である。
【なぜ今読むか】
「誰かを好きになる」という日常的な経験を、自己の欠如・美への憧れ・超越への欲望として読み直す視点が得られる。恋愛が消費される時代に、愛の深さを取り戻す一冊である。

