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論語物語

ろんごものがたり

下村湖人·現代

論語の教えを物語として生き生きと描いた名著

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哲学入門

この著作について

教育者にして『次郎物語』の作者として知られる下村湖人《しもむらこじん》が、論語の世界を孔子と弟子たちの生きた対話として描き直した物語。

【内容】

本書は、『論語』に断片的に残された章句をもとに、孔子と弟子たち(顔回《がんかい》、子路《しろ》、子貢《しこう》、曾子《そうし》、子夏《しか》ら)の交わりを物語形式で再構成している。魯(ろ)・斉《せい》・衛《えい》・陳《ちん》・蔡《さい》の各地を遍歴する困難な旅、弟子たちの性格の違い、政治への参加と挫折、教えを授ける場面の息遣いが、具体的な情景として立ち上がる。原典の簡潔な言葉の背後にある人間的な温かみと師弟の絆が、豊かな想像力で描き出され、「学びて時に之を習う」「巧言令色、鮮し仁」といった有名な章句が、生きた場面のなかで響き直す。

【影響と意義】

戦前から戦後にかけて『論語』への入り口として長く読み継がれ、学校教育の副読本としても広く活用されてきた。哲学書としてではなく、人間ドラマとして孔子の思想に親しむ道を開いた代表作である。

【なぜ今読むか】

孔子の言葉は、短い格言だけで読むとどうしても遠く感じられる。本書のように物語に埋め戻してから味わうことで、師弟・友人・同僚との関係をめぐる現代の課題にも自然と接続する、親しみやすい古典の入り口となる。

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