獄
『獄中ノート』
ごくちゅうのーと
アントニオ・グラムシ·現代
ファシスト監獄で書かれたグラムシのヘゲモニー論と文化哲学
社会思想政治
この著作について
イタリア共産党の指導者アントニオ・グラムシが、ファシスト政権の獄中で1929年から34年にかけて書き綴った32冊の手稿。獄死後に妻と義姉の手で国外に運び出され、戦後に順次刊行された20世紀マルクス主義の最も独創的な達成である。
【内容】
文化・教育・ジャーナリズム・司法・宗教・常識といった「上部構造」が、単なる経済的利害の反映ではなく、支配階級の「ヘゲモニー(文化的指導権)」を形成する積極的舞台であると論じる。支配は暴力だけでなく、被支配者が自発的に支配階級の世界観を内面化することで完成する。対抗するには「有機的知識人」が民衆の常識を新たな世界観へ練り上げる長期の文化的陣地戦が必要だとされる。マキャヴェッリ論、南部問題、アメリカニズム論、俗ラテン語論など多彩な考察が断章体で展開される。
【影響と意義】
ユーロコミュニズム、カルチュラル・スタディーズ、ポストコロニアル研究、ラクラウのポピュリズム論まで、広範な人文学・政治学の源流となった。
【なぜ今読むか】
メディアとプラットフォームがヘゲモニーを形成する現代、その分析枠組みはいまも第一級の鋭さを保つ。