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君たちはどう生きるか

きみたちはどういきるか

吉野源三郎·現代

中学生コペル君と叔父さんの対話を通じて生き方を問う日本の教養小説の名作

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哲学日本思想児童文学

この著作について

ジャーナリスト・編集者・児童文学者の吉野源三郎(よしのげんざぶろう、1899-1981)が、戦時下の日本で書き上げた児童向け教養小説。岩波文庫、1937年刊。戦後も版を重ね、2017年の漫画化(羽賀翔一)と2023年の宮崎駿による同名映画化により再ブームを迎えた。

【内容】

物語は、中学2年生の本田潤一(あだ名「コペル君」)と、亡き父の弟である叔父さんとの対話を軸に進む。コペル君は学校生活のなかで、銀座の街を見下ろしながら自分が分子のように小さい存在だと気づく経験、貧しい同級生・浦川君との関係、上級生にいじめられる友人を助けると約束しながら裏切ってしまう挫折、ナポレオンへの憧れ、生産関係の発見といった出来事を経験する。叔父さんはそのつどノートで応答し、コペル君の体験を「人間分子の関係、網目の法則」「真実の経験から学ぶこと」「立派な人間とは何か」といったテーマへと言語化していく。

【影響と意義】

本書は、戦時下の検閲をすり抜けつつ、社会的存在としての自己の発見、他者への責任、過ちから学ぶ姿勢といった近代倫理学の核心を、子どもの体験を通して伝えた稀有な作品である。岩波文庫版・マガジンハウス漫画版あわせて二百万部を超え、戦後日本人が「生き方」を考える際の共通テキストの一つとなった。

【なぜ今読むか】

哲学書ではないが、人間が社会のなかで自分を見出していく過程を、これほど誠実に描いた本は少ない。哲学的な思考を生活と接続するための入口として、世代を問わず読まれ続けるべき一冊である。

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