フィロソフィーマップ
長

『長阿含経』

じょうあごんきょう

古代

比較的長い30の経を集めた初期仏教の漢訳経典集。ブッダ最後の旅を描く「遊行経」などを収める

仏教経典

この著作について

初期仏教の経典を漢訳した四つの阿含経《あごんきょう》の一つで、長い経を集めた22巻の経典集である。後秦の412年から413年にかけて、長安で仏陀耶舎《ぶっだやしゃ》と竺仏念《じくぶつねん》が訳した。パーリ語経典の長部に対応する。

【内容】

序と30の経からなり、四つの分に分かれる。冒頭の「大本経」は、過去の六人の仏と、毘婆尸《びばし》仏の生涯を語る。その誕生の場面では、毘婆尸菩薩が七歩歩いて四方を見渡し、天上天下唯我為尊と言って衆生を生老病死から救おうと述べ、これが諸仏に共通する常のきまりとされる。第2の「遊行経」はブッダ最後の旅から入滅、遺骨の分配までを語る。ほかに在家の倫理を説く「善生経」、阿闍世《あじゃせ》王が出家の果報を問う「沙門果経」があり、最後の「世記経」は天界や地獄、世界の生成と破壊を描く。

【影響と意義】

インドの法蔵部《ほうぞうぶ》が伝えた経典を訳したものとみる学者が多いが、説一切有部《せついっさいうぶ》の所伝とする説などもあり、見方は一つではない。漢訳の四阿含は、パーリ語のニカーヤとともに、ブッダと初期仏教の思想を知るための基本資料とされる。パーリ語の長部とは共通する箇所が多いが、相違点もあり、両者を突き合わせることで伝承の違いを確かめられる。

【なぜ今読むか】

天上天下唯我独尊として知られる言葉が、古い経典ではどのような場面に置かれていたかを確かめられる。ブッダの最期や在家の生き方を語る経を、パーリ語の伝承と読み比べる入り口にもなる。

Amazonで見る