文
『文明の衝突』
ぶんめいのしょうとつ
サミュエル・ハンチントン·現代
冷戦後の国際秩序を文明間対立で読み解いたハンチントンの大著
政治歴史
この著作について
アメリカの政治学者サミュエル・ハンチントンが1996年に公刊した国際政治学の大著(原題『The Clash of Civilizations and the Remaking of World Order』)。1993年の論文を発展させ、冷戦後の世界秩序を文明間の対立軸で読み解こうとした、21世紀初頭の国際情勢論の基礎文献である。
【内容】
現代世界を西洋・東方正教会・イスラム・中華・日本・ヒンドゥー・仏教・ラテンアメリカ・アフリカの9文明に分類し、冷戦後のグローバル政治は国家間ではなく文明間の「断層線(フォルトライン)」で発生すると主張する。特に西洋と非西洋、なかでもイスラム文明との衝突が21世紀の主要な紛争原因になると予測した。普遍主義的西洋自由民主主義の勝利を唱えるフクヤマ『歴史の終焉』と対照的な、文化相対主義的警告の書。
【影響と意義】
9/11テロとその後のイスラム世界との対立、中国の台頭と米中対立、ウクライナ戦争などを部分的に予見した点で、現代国際政治論の必読文献として定着。批判もあるが、文明単位での国際分析の標準的枠組みを提供した。
【なぜ今読むか】
多極化・大国間競争が顕著な現代、その長期予測の妥当性を評価する古典的参照点。